雨上がりの岩場巡り

雨上がりの岩場巡り

エリア:日向神前日は大雨と強風でなかなかの大荒れ。しかしそんな次の日は日向神へ。登れるトンネルエリアでちょこっとだけ登ったが、トンネルを通り抜ける風が冷たくて。手もかじかんで体も思うように動かないので、こんな日は早々に切り上げて普段あまり行くことのない日向神の岩場を巡る事に。開拓者Yさんと一緒に巡る日向神ツアー。私の知らない日向神の風景がたくさん。

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唯一登れそうなトンネルエリアで登る。アップでトンネル横の10aと11aを。手がかじかんでいるのもあるけれど、なかなか必死な登り。あれ?こんなに登りにくかったっけ?その後、くまもんちゃんが「ウシ子11b」をやるというので私もリピートで取り付いてみたものの、体が温まっていないのでカチが持てないわ、体は動かないわで撤退。「ウシ子」は一部グラついていたホールドをYさんが修繕してくださったので安心して登れる。まるで傷を「手当て」したかのようにテープが貼ってあったのがなんだか笑えた。トンネルを通り抜ける風が体をずっと冷やしてくれるので、これは思うように登れんと早々に撤退。私がまだ見たことのない岩場を見に行こうという事になり、有難い事に案内して頂ける事に。この広い日向神。私には迷路のように思うこのエリアを知る良い機会。

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まずはよく話では聞く、崩壊して今では登られていない「ダム下エリア」に行ってみようという事に。その前にくまもんちゃんが「八女津媛神社」に案内してくれるというので立ち寄る。神社に着くと、樹齢600年の立派な権現杉が目に止まる。そこから階段を上がると、「神の窟」と呼ばれるルーフ岩が広がる。当然、登れないが立派。その後、神社でお参り。声に出してお願い事を言う、くまもん女史。「Yさんの肩の手術が上手くいって、早く治りますように」と。

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神社を後にして、「ダム下エリア」へ向かう。道中、道路右手に初めて見る大きなスラブ岩。「八女津媛岩」だそうで、一番高いところで2ピッチあるスラブ。山の会の方々が練習等で好む岩。優しめらしいが、本当だろうか?このようなスラブを見るとギタンギタンに洗礼を受けた小川山の恐怖のスラブを思い出す。

車でダム下へ行こうとしたところ、その先の道が木の伐採中により通せんぼ。仕方がないので諦めるかという話になったが、折角なので岩場を見てみたく、途中に車を停めて歩いて行くことに。歩きながら、右手遠くには「黒岩」が見える。なんだかそそられる岩。昔は登られていたそうだが、今は登られていない。昔の「黒岩」の話を聞きつつ歩き続けると、お次は右手に「ダム下・鉄塔エリア」が現れるが、すっかり荒れてしまっている。

「ダム下エリア」に到着。もう崩壊したかのようには見えない、普通の岩。しかし所々に綺麗な終了点やピンが残る。冬は暖かく、アプローチも良く、以前は賑わっていたそうな。くまもんちゃんもここで登っていた時期があり、くまもんちゃんが登った次の日に崩壊したそうな。崩壊した箇所は、ダイナマイト爆破で人の手が入っていた箇所らしく。まだ上の方に残るルートは登れそうだという話だが、アプローチの道ごと崩壊してしまったので、そこに辿り着くまでにはなかなか大変そうだし、また崩壊しそうだという恐怖も残る。登るか登らないかは別として、このエリアを拝見する事が出来て良かった。約10年ほど前のこのエリアのお話もいろいろ聞けた。

最後に、日向神を一望できる場所があるというので案内して頂く。車で走って、ちょっと歩くとその場所に着く。眼下には日向神ダム湖。いつもの岩場通いの道も一望。日向神は広い。スケールでっかい。Yさん曰く、ルートを作れる岩はまだまだいっぱいあるそうで。いつも私たちが取り付いているルートの開拓話もまだまだ聞き足りないけれど、ちょこっと聞けた。

今では私にとっては登り尽くせないルートの数々だけれども、昔などルートは自分で作らなければなかった。登りたいルートは自分で作る。自分の為にルートを作る。今は作って頂いたルートの恩恵に預かっているけれども、自分でルートを作って登ることは、私のクライミングスタイルでは味わえない楽しみがあるのだろうな。ルート開拓の未来の事を考えると、この先誰がルートを作っていくのだろうか。若手クライマーで開拓意欲のあるクライマーってそんなにいるのだろうか。13台を登るクライマーにとっては、13以上のルートは数少なく、作ろうとしても13を登った事のあるクライマーでないとグレーディングは難しい。13台のルートはこれ以上増えていけるのだろうか?誰かが作ったルートを登る事が当たり前の世代にとって、自分でルートを作るという元来の発想はしにくいのかもしれない。そんな「開拓」という立場にちょっとだけ近づいて考える事が出来た、雨上がりの有意義な岩場巡りだった。